
この記事は永住権と帰化の違いとどちらを選ぶ方が良いかについて。
弊所は外国籍の方の在留資格(VISA)のお手伝いをされて頂いております。
多くの依頼者様(ほぼ全て)の方は、最終的に永住権か帰化(日本国籍取得)を目指されています。
この二つの資格ですが、違いを強く認識されている方は多くない印象があります。
帰化に関しては別サイトでご紹介しております。
ご興味のある方は、そちらのHPもご覧ください。
永住許可申請や帰化申請の対象者になった時に悩まれる事になります。
その様な悩みにお応えすべく、永住許可と帰化許可の違いを一覧表にまとめてみました。
マンガでもある様に帰化と永住の最大の違いは国籍が変わる事です。
日本で暮らす場合、日本国民である方が有利な事が多いです。
しかしながら国籍はその人のアイデンティティの根幹です。
帰化した依頼者様から、母国の家族と国籍が違うことに寂しさを覚えるとお聞きした事があります。
永住か帰化か、どちらを選ぶのかは慎重にする必要があるかと思います。
早速ですが、永住と帰化の一覧表をご紹介します。
永住権 | 帰化 | |
---|---|---|
管轄 | 出入国在留管理庁 | 法務局 |
要件の厳しさ | 帰化より厳しい | 永住よりは… |
国籍 | 母国(外国人) | 日本国籍 |
戸籍 | なし | あり |
パスポート | 母国 | 日本 |
帰国 | スムーズ | ビザ手続き |
ビザ更新 | なし | なし |
取消し | あり | なし |
選挙権 | なし | あり |
公務員 | 一部の地方公務員 | 制限なし |
永住権と帰化の違いで代表的な物は上記の内容になります。
一番インパクトがあるのは、国籍が変わるか否かです。
あと永住権は取消しがありますが、帰化は一度取得すると一生ものです。
ここからは一覧表に書いた内容に軽く触れておきたいと思います。
違いで大きな部分は、国籍と許可取り消しの有無、要件や審査の厳しさかなと。
永住許可申請と帰化申請は、管轄する役所が違います。
どちらも大元は法務省ですが、審査は別組織です。
入管局はビザを管轄する役所で、法務局は戸籍や国籍を取り扱う役所です。
(法務局は区役所の戸籍係の親分みたいな組織)
大阪市在住の方だと…
永住許可申請は、南港にある大阪出入国在留管理局。
帰化申請は、谷町四丁目にある大阪法務局です。
どちらも普通のビザに比べると難易度や用件は段違いに難しくなります。
永住と帰化の二つを比較すると、永住許可の方がハードル高い目になるかと。
永住が難しいから帰化を選ぶ事も…
(そういうケースも偶に)
そんな簡単な話ではないかもですけども。
次に許可が出た後の国籍についてです。
永住許可は国籍は母国のままです。
(永住ビザと呼ばれる様に在留資格に1つ)
帰化申請は、日本国籍が付与されます。
いわゆる市民権を取得する形ですね。
生物学的な遺伝子などは帰化しても変わりませんが、法的には日本人になります。
上でも書きましたが、国籍や○○人はアイデンティティの根っこの部分です。
帰化や市民権取得後に色々と思うこともある様です。
帰化した後は戸籍ができます。
戸籍に名前が載るのは日本国民のみです。
(外国籍の方は身分事項欄に記載)
帰化申請書には、許可後の本籍地を決める欄があります。
逆に永住ビザの場合、新しい戸籍は編さんされないです。
永住権取得後に在留カードが発行されます。
永住許可が出ても以前のパスポートを使います。
特に変化がありません。
帰化申請した時は、母国の旅券は使えなくなります。
(日本は二重国籍を認めていないため)
代わりにパスポートセンターで日本のパスポートを作る事ができます。
永住ビザの場合は、スムーズに母国へ帰国可能です。
(国籍が変わっていないため)
滞在期間も母国に於いては制約ありません。
(再入国許可の縛りがあるけど)
しかしながら帰化した場合は、ビザ(VISA)の手続きが必要になります。
ノービザで入国できない国だと、大使館で短期滞在ビザの申請することに。
滞在期間もかつての様に無制限とは行かず、現地入管から在留期間が定められます。
この部分も元自分の国なのに、外国人扱いされる事に違和感を覚える方も居られるようです。
これに関しては、両者ともに更新不要です。
数年毎のビザ更新が煩わしさから解放されます。
(帰化・永住の最大のメリット)
帰化は一度許可が出れば取り消されないです。
他所の国で帰化や市民権を取らない限りは一生有効です。
永住は取消しがあります。
再入国許可をオーバーした場合や退去強制(強制送還)に該当するような犯罪を犯した時は永住ビザが取り消されます。
たまに油断して永住ビザが取り消されて、配偶者ビザや就労ビザなどに戻ってしまう方も…
あと在留カードの届出も永住ビザ後も残ります。
帰化許可を受けた後は、日本での選挙・被選挙権の両方が認められます。
帰化した後に市区町村長や議員、または国会議員になられた方も居られます。
その代わり、母国での選挙権は消滅することが多いです。
(母国の国民ではないため)
永住ビザは、日本での選挙権も被選挙権もありません。
(将来的には地方で選挙権が付与される可能性も無きにしも非ず)
母国の選挙権や被選挙権は、そのまま保持しています。
(在外国民の取り扱いは、母国によりますが)
永住ビザは就労制限の無い在留資格と呼ばれています。
しかしながら、国家公務員警察官など一部の職種には就けないです。
永住者が奉職できる公務員は、地方公務員(大阪府や大阪市など)です。
また入庁しても配属される部署と職種も制約があります。
第一条 この規則は、公権力の行使又は公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには日本国籍を必要とするという公務員に関する基本原則を踏まえ、日本国籍を有しない職員(以下「外国籍職員」という。)の適切な任用を確保するため、法令及び他の規則に定めるもののほか、外国籍職員を任用することのできる職の範囲を定めるものとする。
この様に外国籍の職員が可能な職種の範囲を定められています。
逆に帰化許可の場合、警察官や国家公務員を含めた全ての職種に奉職可能です。
学生が就職前に帰化する動機が、公務員になりたいからも少なくないです。
最後に永住ビザか帰化はどちらが良いかについて。
これは人によるとしか言いようがありません。
永住権は欲しいけど、国籍までは変えたくない場合は永住一択です。
日本に骨を埋める覚悟がある方は、帰化で日本人になった方が良いですし。
就職で日本企業や役所に就職するなら、日本人である方が有利なこともあります。
ビジネスの観点で帰化した人も居られます。
現時点でのベストも時間の経過とともに考え方が変わる事もあります。
永住ビザを取った後に帰化申請される方も一定数居られます。
どちらにせよ後悔しないように、良く考えてから選択される事をお勧めします。
以上が永住権と帰化の違いについてでした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。