この記事は転職が永住ビザ申請に与える影響と対策について。
永住ビザの審査で申請人や家族の仕事は非常に重要です。
上記のマンガは永住許可申請前に転職した時の注意点を簡潔にまとめたものです。
最後のコマにある年金が落とし穴になることが多いです。
転職後すぐに永住ビザ申請は、絶対にお勧めしません。
類似の帰化申請なら、法務局の担当官から1年ほど待つようにと指導が入ります。
永住申請も同じように1年ほど時間を空けてから入管局に書類を提出します。
1年待つ理由は、新しい職場に定着できるかの確認です。
新しい職務が自分に合っているか、人間関係は大丈夫か?
転職先で長く働けるかは誰にも分かりません。
もしかしたら、1年待たずに別の仕事を探すことになる可能性があります。
もう一つは年収の確定です。
就職するときに交付される雇用契約書には、見込みの年収や給料が書かれています。
見込みの収入は実現したものではなく、実際の所の数字は分かりません。
そのため1年待って、源泉徴収票や納税証明書で確定した年収を見ます。
1年待つのは、全部の在留資格が対象です。
(配偶者ビザや定住者ビザ、高度専門職80点以上など)
就労ビザの場合は、配偶者ビザよりも慎重な対応が必要です。
転職先が就労ビザの要件を満たさないと永住以前の問題になります。
理想は転職後に就労ビザの更新を行った後に永住許可申請です。
更新で3年の在留期間が出ることが前提ですが。
次点では就労資格証明書を取得して、1年ほど様子を見る方法です。
この時に取得した証明書を永住ビザ申請で提出します。
就労資格証明書とは、転職後の勤務先や担当職務が現在の就労ビザでできるかを入管局にチェックしてもらうものです。
タイミングとしては転職前から内定を貰った段階で就労資格証明書の手続きをします。
(取得に時間が掛かるので、余裕をもって申請)
永住申請前に転職後の仕事が問題ないか入管に確認が大事です。
転職した時の申請の注意点は以下のものがあります。
永住の事だけを考えるなら、許可が出た後で転職することをお勧めします。
最初に永住審査でプラスになるのは、待遇が上昇する転職のみです。
具体的には年収なら100万円程度アップ。
仕事内容は課長だった場合は次長(部長の次)や部長待遇になるなど地位の上昇。
会社のカテゴリ(入管局基準)はカテゴリ3からカテゴリ2にランクアップするなど。
(入管は企業を有名無名ではなくカテゴリで判断する)
逆に前職とほぼ同じ年収、地位、カテゴリの場合だと、プラスの評価は難しいかと。
勤続年数の貯金が無くなり、職業の安定性に疑いが発生します。
そのため転職後1年間は様子見する必要が出てくるのです。
今度は年収、地位、カテゴリがランクダウンした場合。
(異業種への転職なら普通にあります)
永住審査はマイナスの方向に進みます。
異業種転職の場合、永住審査の前に現在の就労ビザも不安定になります。
転職前に就労資格証明書を取るなど、今のビザでも問題ないことを証明する必要があります。
あと可能ならば、勤務先の雇用主や上司から推薦状が貰えるなら作成をお願いするのも手です。
(関係性が出来ていないと難しいかもですが…)
転職がスキルアップ転職やヘッドハンティングなら、推薦状を書いて貰える可能性があります。
就労ビザは退職後2週間以内に、所属機関に関する届出の提出が義務付けられています。
最近の永住審査は、在留カードの届出や所属機関に関する届出を出していないことが原因で不許可になるケースがあります。
現在転職活動中の時は、遅れてでも出しておきましょう。
問題は届出を提出無しで転職して、さらに就労ビザの更新が完了している時です。
当時の更新は問題なしで更新許可が出ても…
永住審査で問題視されるケースが多いです。
このケースですと、今更届出を出すこともできません。
対応方法としては、申請理由書に出していなかった事の反省と今後の対応を記載します。
(何も触れずに申請へ進むのはリスクが大きいです)
一般的に考えるなら、入管の審査で大丈夫と出てるから問題ないと思われますが…
永住許可の審査は最初の来日から現在までの滞在状況を全部チェックされます。
(だから審査に時間が掛かるという訳です)
次は転職活動に要した日数です。
転職活動に時間が掛かり過ぎると、永住審査に暗い影を落とします。
まずは就労ビザは、許可に紐づけられた活動を3か月行っていないと在留資格の取消しの対象になります。
(実際に取り消されるかは別問題として)
転職活動が3か月以上に長引きそうな場合、可能ならば別のビザに変更などの対応しましょう。
配偶者が就労ビザなら家族滞在へ、日本人なら配偶者ビザへ変更するなど。
次に転職活動中の年収です。
転職が決まって初任給を貰うまで2カ月から3か月は掛かると思います。
その間の収入はゼロになります。
(失業保険は貰えるかもですが)
このゼロ期間が独立生計要件にボディブローのように効いてきます。
転職した年度は10カ月から9か月分の給料で計算されます。
年収要件ギリギリの場合、転職が原因で要件を満たさなくなる可能性があります。
前の会社を退職すると、厚生年金から国民年金に変わります。
健康保険は任意継続で前の会社の保険に加入できますが、年金に任意継続の精度がありません。
国民年金の加入手続きは、離職票を持ってお住まいの市役所や区役所の保険年金担当部署で手続きが必要です。
意外とこの手続きをうっかり忘れてしまうケースがあります。
厚生年金は給料からの天引きになりますが、国民年金はコンビニ払いになります。
(最初に口座引き落としにしておけば問題なし)
加入手続きは大丈夫だけど、支払いを忘れたり納付期限に遅れたりするケースもあります。
未加入や支払い遅れが1日でもあると、永住許可は出ません。
リカバリー方法は未納部分を全部払ってから2年以上の実績を積上げる必要があります。
全期間の年金の支払い状況は、年金機構のサイトで確認が可能です。
そこでプリントアウトした書類を入管局に提出します。
最後に永住申請後に転職した場合です。
この時は入管局に退職と転職活動、転職した会社の情報を提出する必要があります。
永住申請の書類提出時に了解書で役所と約束しているため、放置すると後々で後悔します。
永住審査中の転職は、不許可リスクが非常に大きいです。
(余程のランクアップ転職出もない限りは)
出来る限り永住者になった後で転職することをお勧めします。
この部分は申請者の判断になりますが。
(永住許可を数年待ってでも行きたい会社なら話は別です)
以上が永住申請と転職の関係でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。