この記事は経営管理ビザから永住権を取得する要件について。
経管ビザ→永住者の最大の特徴は、申請人と経営する会社や事業の内容の両方が審査されることです。
また素行要件、独立生計要件、国益適合要件の3つを満たす必要があります。
漫画にもある様に会社と申請者の両方が審査されます。
例えば株式会社を経営している場合、厚生年金と健康保険の加入が必須です。
審査では申請人と会社の加入状況がチェックされます。
また独立生計要件では、申請者の収入と会社の経営状況も確認されます。
(経営管理ビザの更新と同じように)
最初に日本での居住歴をチェックします。
経営管理ビザの場合は、以下の要件が必要です。
まずは10年以上の居住歴です。
この10年は来日から現在まで、長期の出国が無いことが条件です。
上記の日数を海外で過ごすと、継続性が切れてゼロからスタートになります。
ただ出国と帰国の事情が合理的な理由がある場合は、リセットされない事もあります。
この辺りは別記事にて詳しく説明しています。
次に3年以上の在留資格があるかです。
入管法には最長の在留資格が必要とありますが、永住許可のガイドラインで当面は3年で大丈夫とあります。
経営管理で3年以上を取るためには、会社の経営状況が良好なことが重要です。
決算が黒字であり、売上総利益(粗利)も黒字なのが大前提です。
在留期限が問題になるのは、永住権審査中のビザ延長です。
永住ビザ審査中に現在の在留資格の期限が近づいた時は、在留資格更新許可申請が必要です。
万が一在留期限が1年になってしまった場合は、要件を満たさなくなります。
永住申請を検討中にビザが切れそうな場合、先に延長したほうが良いです。
次は年収要件についてです。
自分たち家族で生計が成り立っている事を証明します。
年収の目安は年収300万円以上となっています。
そこに扶養家族が一人増えるたびに70万円加算されます。
四人家族の必要年収は510万円となります。
永住申請では、必要年収を5年間継続している事が必要です。
(永住許可の独立生計要件はハードルが高いと言われる所以)
年収の計算は申請者本人のみ
永住許可申請で必要な年収ですが…
申請者本人の収入だけで審査されます。
例えば4人家族で、配偶者が会社の手伝い、子供がバイトに出ている場合。
家族の収入は年収の中に入れられません。
役員報酬をビザ更新ギリギリの額にしていた場合
経営管理での注意点は、年収が申請者の納税証明書に書かれた所得金額になることです。
節税目的で年収を低くしていた場合は、要件を満たせないケースが少なくないです。
経営管理ビザの更新で必要最低限の年収では、要件を満たさない事が多いです。
(一般的に経管ビザ更新で必要な報酬は、年収240万円と言われている)
会社が儲かっていても報酬が少ないと…
弊所でのご相談で多いのが、
「確かに取ってる報酬は少ないけど、会社は儲かっているんだから大丈夫では?」
法律上は経営者個人と会社は全くの別人格です。
会社にお金があっても、経営者個人のお金とはみなされないです…
この場合の対応方法は、役員報酬を永住許可が可能なレベルまで引き上げることです。
5年分の納税証明書で、所得があることを証明することで条件がクリアできます。
会社の経営状況も審査対象
次に申請人の会社の経営状況です。
経営する会社の財務状況がチェックされます。
決算が黒字であることや債務超過になっていないなど。
この部分は経営管理ビザ3年取れていればクリアしてると思います。
(赤字や債務超過だと1年のビザになる)
ここからは素行要件についてです、
こちらも経営管理の場合は、会社のコンプライアンス状況も一緒に審査されます。
まずは暴行や万引きなどの犯罪で刑罰を受けていないことです。
万が一、刑事罰や処分を受けていた場合は、素行要件を満たさないと評価されます。
刑罰を受けていた場合、一定期間は永住許可申請ができなくなります。
- 懲役・禁錮は、刑が終わってから10年
- 執行猶予は、期間終了後から5年
- 罰金刑、支払ってから5年
上記に書かれた数字が概ねの目安になります。
ただ懲役や禁錮刑以上の刑罰を受けた場合、退去強制(強制送還)に該当します。
1年以上の刑の場合、退去強制後は上陸拒否事由に該当します。
(永住以前に現在の在留資格も難しい)
引用:就労ビザから永住許可申請
永住許可の素行要件で該当するのは、交通違反になります。
交通違反の場合、罰金以上のペナルティは一般の犯罪と同様になります。
(飲酒運転や人身事故などは一発でアウトです)
交通違反でも軽い違反なら、即不許可とはならないです。
20キロ以下のスピード違反など軽いものであれば、以下の回数が目安になります。
- 直近5年間で5回まで
- 直近2年で2回まで
詳しくは別記事で詳しく解説しています。
ご興味のある方は、そちらの記事もご覧ください。
次に在留カードの届出です。
在留カードは更新の他にも氏名や住所などの変更事項があれば届出が必要です。
変更が必要になってから、90日以上放置した場合は在留資格の取消しリスクがあります。
特に居住地の変更が注意です。
引っ越しして住所が変わった時は、市役所で在留カードの届出も行う必要があります。
素行要件には納税義務も含まれます。
申請人は所得税や住民税などの納税状況。
会社の方は、法人税や消費税、法人住民税などがチェックされます。
永住権は税金の未納や滞納があると不許可になります。
チェックされる期間は5年で、5年分の納税証明書と課税証明書を提出します。
次は社会保険になります。
申請者と会社の双方が加入と支払いが2年分確認されます。
年金や健康保険は、支払いが1日でも遅れたら不許可と非常に厳しいチェックが入ります。
もし未加入や未納、支払い遅れがある場合、不具合を正してから2年間の支払い実績が必要です。
この時に口座振替やカード決済など支払い遅れが出ない形にしましょう。
申請理由書にて反省と謝罪、今後の対策を記載することも重要です。
加入する社会保険の種類は、事業の形態で変わってきます。
会社役員や5人以上を雇っている個人事業主は、厚生年金と健康保険がマストです。
年金の支払いのチェックは、年金定期便の全期間もしくはねんきんネットの「各月の年金記録」を提出します。
ねんきんネットの記録を出すことが多いです。
関連記事:ねんきんネットの「各月の年金記録」は永住権での必要書類
次は身元保証人です。
永住許可申請では、日本人か永住者の身元保証人が必要です。
入管局には身元保証書(自筆サインあり)と本人確認書類(免許証コピー)を提出します。
入管局の身元保証人は、申請者の日本滞在費や帰国費用などを保証することとあります。
ここでの責任は、法的なものではなく道義的なものです。
なので入管局から請求が来ることはありません。
身元保証人の責任が道義的であると言っても…
簡単にはなってもらえない事が多いです。
そんな時に身元保証代行サービスの利用を検討する方も居られます。
個人的にはリスクが大きいので、ご利用はお勧めしておりません。
以上が経営管理ビザから永住許可申請する時の要件でした。
ここまでお読みいただきありがとうございました。